「つながり」の進化生物学
岡ノ谷一夫 東京大学教授 著
コミュニケーションの進化の研究で、できる高校生を集めて集中講義をした記録集
という形が、斬新で分かりやすくしている。
社会的動物(アリやハチや鳥や魚や哺乳類など)にも、人間と共通するコミュニケーションの原理がある。進化で考えれば当たり前なことだが、人間は、特別だと思っているから結構ショックだったりする。
どこまでが、動物的で、どこからが人間に固有のものか?
実は意外と、その境は曖昧である。逆に人間は、意外と動物的である。動物にある要素の組み合わせによって、複雑に見える様になっただけとも言える。
ただ、言語の発明、文字の発明によって、社会が複雑化して、元は単純な要素郡の組み合わせだったものが、高度に複雑化して、人間独自のコミュニケーション世界を作っているのも事実だろう。組み合わせの能力が人間独自かもしれない。
まだ、未解明の部分も多いが、進化的にコミュニケーションを考えることは、楽しみでもあります。
生物学関連で、過去からの名著を並べてみます
1)改訂新板 細胞の社会
生命秩序の基本をさぐる 岡田節人著 ブルーバックス刊 1987
2)腸は考える
藤田恒夫 著 岩波新書 1991
その後多くの別の著者による考えるシリーズが出た。
つまり、相当のインパクトと影響力があった ということ。
記念碑的な本である。
3)ゾウの時間ネズミの時間
サイズの生物学 本川達雄 著 中公新書 1992
なまこの専門家で、面白い人柄でもある。
4)考える血管
細胞の相互作用から見た新しい血管像
児玉龍彦 浜窪隆雄 著 ブルーバックス 1997
5)細胞紳士録 カラー版
藤田恒夫 牛木辰男 著 ブルーバックス 2004
6)皮膚は考える
傳田光洋 著 岩波書店 2005
資生堂の研究員という独特の立場で、苦労も多いらしいが、
普通の学者では、出来なかった学問的な成果だと思う。
7)内臓感覚
脳と腸の不思議な関係 福土審 著 NHKブックス 2007
8)生物学的文明論
本川 達雄 著 新潮新書 2011
9) 腸は第二の脳
整腸とメンタルヘルス 松川恒夫 著 河出ブックス 2011